今宵、月下の夜に

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(side)

大理石の床にブランド性のカーテン。オレンジ色の灯りが高級家具を照らしている。

その中の一室で新しく買ったブランドの服をキングサイズのベッドの上に並べて悩んでいるとパパが帰ってきた。

「おかえりなさいっ早かったわねパパ」


いつもは遅くなる帰りが早かったことに驚いて駆け寄る。パパをみて微笑んだ。

ネクタイを緩めて広いキッチンへ向かうと冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すパパ。

「今日は早く片付いてね」


そう言ってこちらをみないで寝室へ向かおうとする。


そんなパパに私は声を張り上げた。

「パパっ今度の教室に来てく服選んでたの。これとこれどっちがいいかしら」


先程まで選んでた服のハンガーをつかんでみせる。

淡いピンクのワンピースにトップスが紺の黄色のスカート。


「好きにしなさい」


考える間もなく返ってくる言葉。


ああ。私はなんでこんなに必死なのかしら…


「そうだ。汐里。これから外出するときは時間と場所を正確に教えなさい」


うちひしがれている私にパパは思い出したように言う。


「どういうこと?今までも言ってきたわ」

家を出るときはそれなりに行く場所を話してきたつもりなのに。


「正確にだと言っただろっ…!」


するとそれまで淡々と話していたパパが突然人が変わったように怒鳴った。


「…パパ?」

びっくりして後ずさりする。



少しずつ近づいてくるパパ。