「いったい何だったんだ..........」
 年越し早々、炎に吹き飛ばされるなんて不吉意外ないものでもない。
 両腕で抱えてもはみ出している曰く付きの鴉は、茹でたほうれん草のようにぐったりしている。私がポパイなら目を輝かせ瞬く間にエネルギー源にしていたかもしれない。
 「どうしよう。家に連れて行きたい所だけど母さんがギャースカワースカ騒ぎそうだし」
 どういうことかというと、うちの母様はいろいろと難しい性格をしている。
 落とし物を拾おうとすると面倒なことをといい、迷子の子供に声をかければ余計なことをするなといい子猫に構ってやれば煩いと、何かと面倒事には関わりたくないタイプだ。
 そんな人と同じ屋根の下、カラスと同居しなくちゃいけないなんていったら..........
 でもこのままだといけないと本能がしきりに訴える。
 そ~と、そ~とドアを開けて抜き足差し足忍び足の要領で階段を上る。きしむ音が体を束縛する。
なんとか自分の部屋にたどり着き、ドアを閉めると途端マラソン後に似た脱力感を覚える。のび太君はいつもこんな緊張と格闘してたのか。今なら肩を叩き合い苦労を分かち合える気がする。