「部活に専念したい。自分勝手だけど、別れてほしい。」




季節も秋を過ぎ最近も冷えきってきた今日この頃




私、斎藤美桜は彼氏に振られました。




私にとっては初めての彼氏。




16年間生きてきた中で初めての彼氏だった。




私の彼氏…元カレと言った方が正しいだろうか。



萩野廉とは高1からの付き合い。



廉は顔がイケメンで成績優秀。
陸上部ということもあり運動神経も抜群の私には勿体無いくらいの彼氏だった。



クラスが離れていることもあり、帰宅部の私は廉とは一緒に帰れないから帰ってきてからの廉とのメールが嬉しくて仕方がなかった。




不意に言ってくる廉の大胆な発言に何度ドキドキさせられたことか。







でも、そんなことももうない。





今終わったんだ。何もかも。




好きだよってもう言ってもらえない。



一緒に帰りたいって言ってもらえない。





視界が涙で滲む。





仕方ない。




仕方ないことなんてわかってる。
廉には夢があるんだ。


好きなら応援しなくちゃいけない。



でも、それとは逆にまだ別れたくないっていうのもあるんだ。




わがままなのはわかってるよ。




好きなの。大好きなの。


まだやってないことが沢山あるよ。



廉とやりたいことが沢山あるよ。




でも、それも叶わないんだね。




その日私は廉に返事をしないまま眠りについた。