「裕隆はこの空が何に見えるっ?」 すると裕隆は、ようやく本から 目線を逸らして、私を見てくれた。 「…別に。ただの雲じゃん。」 「……馬鹿野郎!裕隆の阿保!糞!間抜け!」 「は?!」 裕隆はぜーんっぜん、分かってない…… 私は体育座りをしながら、指に乗ったテントウムシと睨めっこ。 するとテントウムシは、指の一番上まで登ってきて 飛んだ。 私もテントウムシみたいに、あの空に飛びたい あの果てしない空に