『…帰って来たのかしら?』 中西さんは上がってくるエレベーターに目をやる。 『正幸さんもさ、その娘に心残りがあってここから出られなかったんだろうけど…』 真由ちゃんの目に、みるみる涙が溜まっていく一。 わたしはもう一度、真由ちゃんを強く抱きしめた。 『その娘が死んで、やっと、思いを遂げに出ていけた…ってことね。』 一ガコン。 エレベーターが止まる。 その扉が開き、中から真由ちゃんのお父さんがゆっくりと降りて来た。 ・