「待って!!め、免許は??」

「持ってるに決まってるだろ。アホか。」

一翔はそういい優しく梨華の頭を叩いた。

「そ…そうだよね…」

「しっかりつかまってろよ?」

梨華の頭にヘルメットを被せて一翔は言う。

梨華はこくんと頷く。

「よし!出発!!」

梨華は一翔の腰に手を回して気づく。

(…人の体温ってこんなに温かいんだ…)

急に涙が溢れてきた。

(いつからなんだろう…。

私の家族が壊れたのは…

いつからお父さんは私に手を挙げるようになったんだろう…

いつからお母さんは見て見ぬふりをするようになったんだっけ…

いつから梨湖は他人に心を開かなくなったんだっけ…

いつから…私は本当の笑顔を見せられなくなったんだろう…)

梨華は気づけば父親の虐待が〝普通”になっていた。

「…いつから…私はこんな人間になっちゃったんだろう…」

梨華は後ろに乗りながらそっと呟く。

しばらくして何もなかった場所から海が見えてきた。

「海…?」

一翔は倉庫街の場所でバイクを止めてある倉庫の前にたった。

「どこ、ここ?」

梨華は状況を把握できず一翔に助けを求める。

「俺の宝物がある場所。」

一翔はそういい倉庫を開ける。

「あ、総長!!おかえりなさぁぁぁい!!」

一人の男性がそういうとあちこちから「おかえりなさい」という声が聞こえてきた。

「総長…?はぃ?」

「ここが俺の宝物。龍蝶のメンバーだ。」

一翔は階段を上りながら説明する。

「いや…わからん。まったくわからないんだけど…」

「一翔ー」

そう呼んだのは赤髪の男。

「おう、海!」

「梨華紹介するな?俺の親友で、龍蝶、幹部の一人矢外 海(やがい かい)。」

「矢外 海です~!よろしくね梨華ちゃん♪」

矢外 海と紹介された男は梨華の手を握って嬉しそうに笑う。

「一翔。今までどこに…」

「あ、匡。わりぃな。梨華こいつも俺の親友で幹部の琴鳳姫 匡(ことふき きょう)。
頭いいんだぜ?王桃学院3年の頭持ってやがるからな。」

王桃学院とは日本有名大学3本の指に入る超進学校。

(なぜそんなすごい人が暴走族なんかに…?)

梨華は素直に思う。