「今日からお世話になります」
鈴木雅高校1年生。両親が事故で亡くなり、父親の知り合いの塩崎さんの家に今日からお世話になることになった。
「雅ちゃん待ってたよ!おじさんのことは、お父さんだと思って良いからね。2階の右側の部屋が雅ちゃんの部屋だよ。わからないことがあったら息子の舜に聞いてね。2階の左の部屋にいるはずだから。」
「ありがとうございます。お邪魔します。」
さっそく2階の右側の部屋に入る。わぁ…広くてキレイな部屋!家具はシンプルにベットと机が置いてあるだけだった。
おじさんも優しそうな人で良かった。
「あれ、うちに住むことになったのって雅ちゃんだったの?!」
そこには、同じ歳くらいの男の子がいた。
「誰?」
「えっ、俺のこと知らないの?同じクラスじゃん!」
同じクラス…?!
「知らない…」
「わぁ、ショック!!俺は塩崎舜!今日から、よろしくね!!」
あっ、この人が舜か…
「よろしく…」

まさか、一緒に住むことになったのが同じクラスの雅ちゃんだとは思わなかった。雅ちゃんは、学校で一番美人で可愛くて有名な子だった。でも入学して2週間、クラスの人と話してるのをほとんど見たことがない。俺が笑わせてあげられたら良いんだけど…。

舜が部屋を出ていってから、荷物を片付けて時計を見ると、もう18時だった。
「そろそろ夕食作ろうかな…」
下に行き、台所を探す。
「雅ちゃん、どうかしたの?」
「舜、台所どこ?」
「えっ、夕飯作ってくれるの?!」
「まぁ…」
舜に台所に案内してもらい、献立を考える。
「俺も手伝おうか?!」
「えっ…料理できるの?」
「少しならね!今日何にする?」
「舜、何食べたい?」
「じゃあ、カレー!!」
舜の意見でカレーを作ることになった。
15分もしないでカレーが完成。
簡単なサラダも作って夕飯作り終了。
「舜、おじさん呼んできて!」
「親父なら仕事行ったけど?」
「えっ?」
「親父の仕事不規則だからな(笑)2人で夕飯にしようぜ!」
「そうね」
2人で夕飯を食べる。
「雅、美味しいよ!料理上手だね!!」
「ありがと…」
食べ終わって、食器を洗う。
「俺、食器拭くね!」
二人で片付けていると、そういえばお母さんはいないのかなと思った。でも、仕事かなと思って何も聞かなかった。

片付けを終えて部屋に戻る。
久しぶりに誰かとご飯食べたな…。
ガチャ
「雅、お風呂入りなよ!俺、もう入ったから。」
「ありがと」
着替えとタオルを持って下に降りる。
お風呂に入るとちょうど良い温度だった。
気持ち良いな。
お風呂から出ると居間に舜がいた。
「雅、早かったね!明日、学校休みだし一緒にゲームでもしない?」
今日は、土曜日で明日は日曜日なので学校は休み。
「何で?」
「何でって(笑)せっかく、一緒に暮らすことになったんだし、仲良くしようよ!」
「じゃあ、オセロね」
「オセロ?良いよ!」
~10分後~
「舜、弱…」
「雅、強いな!さすが学年トップ(笑)」
雅は、入試で学年トップだった。
「こんな高校の学年トップなんて何の自慢にもならないわよ。」
偏差値55の高校。良くも悪くもない。
「そうかな?自慢しても良いと思うけど(笑)」
「良くないわ。頭なんて良ければ良いってものでもないのよ。」
「えっ?!…」
「何でもないわ。そろそろ寝るわ、お休み」
「えっ、まだ9時だよ?もう少し遊ぼうよ!次は神経衰弱しよ!」
「えっ…はぁ、良いけど後悔しない?」
「うん、しないしない(笑)」
~15分後~
「さてと、もう良いでしょ?」
「雅、強すぎ! 後悔しちゃったよ(笑)」
「だから、言ったのに。私、一度覚えたことは忘れないの。」
「天才なんだね!羨ましい!」

私は、ホステスとして働く母ホストとして働く父の間に産まれた子供。愛なんてあるわけもなく、3歳の時には夜を一人で過ごしていた。
でも、物覚えの良かった私は、お母さんが家事してるのを見て5歳の時には家事を一人で全てこなせていた。 何でも一度見れば覚えれてしまう自分に両親もどこか安心していたのだろう。徐々に帰ってくる日数が少なくなり、最近はほとんど見ていなかったから、両親が亡くなった実感がわいていなかった。