「ねぇあき、今度合コンいこーよ!」
そんなカナの言葉はどこにも引っかかることなく私の耳を通り過ぎていった。

「ねぇ、あき!聞いてるの?」
(いつこいなぁ…いつもの作戦で行くか)
「うん!聞いてる聞いてる!それでいつやるの?」
「えっとね、来週の土曜日!あき、その日はバイトないって言ってたから!」
(まずい、、、)
「来週って、22日?」
「うん!そうだよ!バイトないでしょ?」
「22日バイトないんだけど、実家に帰るんだ、、、ごめん!」
「えぇー、わざわざあきが休みの日にした意味ないじゃん!」
不機嫌になったカナを横目に胸をなでおろすあき。


そもそも、私は恋愛なんて興味ない。
恋愛というものに魅力を感じたかとがない。
男の人と一緒にどこかに行って楽しいのだろうか。
中高一貫の女子校だったため男性と関わることなどなかった。
しいて言えば物理を教えてくれていた先生の萩田先生(みんなはハゲ田と呼んでいたけど、)だけが唯一の男性だった。

そんな私でも一度だけ恋というものをしたことがある。
その話はまた後にして、今はカナの機嫌をなんとかしなきゃ。


カナは大学で出会って仲良くなった。
同じ心理学部に通う2年生だが、年齢は1つ上の21歳。
いわゆる浪人経験がある人間だということ。
でも1つ上であることは忘れるくらい明るくフレンドリーな性格なのがカナの良いところでもある。そして何より、とても整っているのに、少し幼い可愛らしい顔立ちなのも年上だと思わせない一番の理由かもしれない。そんなカナによってくる男はたくさんいて、いつも「この前はあの人が、、、」と毎回違う男の話をされる。それでも簡単に付き合ったりはせず、しっかりと人を見極めているようだ。大学に入ってからまだ付き合った人がいないということは今でも半信半疑であるけど、、、。


「カナ!あのさ、この前言ってたパンケーキ屋さん行かない?ご馳走するから」
「え!?それってめちゃくちゃ行列できるって噂の?」
「そうそう、今ならまだ開店してないし、すぐに向かえば開店少し前には着くんじゃない?大学1コマ休んでいこう!」
「うん!行く!!めっちゃ楽しみ!!」

無邪気に喜ぶカナを見て、本当に年上なんだろうかと思ってしまうけど、これで機嫌も直ってくれれば一件落着だ。