「いえいえ!連絡先交換しましょう」
ポケットからスマホを取り出した。
お互い連絡先を交換した。
「ありがとう。連絡させてもらうね」
ふんわり笑う社長。
「…あ、鈴木さん髪型変えた?」
社長が言った。
「気づきましたか??今日は、たまたまストレートにしたんですよ」
朝、寝ぐせがひどすぎてね。
「すごく似合ってる」
柔らかく微笑む社長があまりにもきれいで、思わず固まってしまった。
あまり人に褒められたことがないから反応に困ってしまう。
その時、ふと社長のデスクのプレートが目に入った。
立派な金属のプレートに『社長 松島 蒼』とかかれている。
「社長のお名前こういうふうに書くんですね」
「うん。“そう”って読むんだよ」
柔らかく微笑む。
「“蒼”って字素敵ですね。いい名前です!」
おしゃれな名前で羨ましいな~。
「俺は鈴木さんの名前も好きだよ?」
私に視線を向ける。
「知ってましたっけ?私の名前」
自己紹介したけど、そんな印象的な名前でもないし。
「ひより、でしょ?」
すっと耳に入ってきた私の名前。
まるで私の名前じゃないような、優しくて柔らかい響き。
今までで数えきれないほど、呼ばれてきた名前。
名前を呼ばれただけで、こんなにドキドキするっけ?
「……っっ」
呼吸の仕方を忘れるほど、ドキドキして。
この胸の音が社長に聞こえていないかな。
「いい名前だよね。優しくて、陽だまりみたいな」
真っ直ぐに私の目を見る。

