君の名を呼んで 2

「ナナミちゃんの笑顔に、癒された人がいます。ナナミちゃんの姿に、勇気をもらった人がいます。ナナミちゃんの言葉に、救われた人が居ます。
……あなた方の娘さんは、たくさんの人に必要とされてる」


私の言葉に、ご両親とナナミちゃんが同時に顔を上げた。


「職業に貴賎はないって言うけれど、偏見はありますよね。けれどナナミちゃんは、ご両親と同じようにたくさんの人の支えになれるんです。
だから私達は、何よりもご家族にナナミちゃんを支えて頂きたいんです。家族に必要とされたいって気持ちから始まった、ナナミちゃんの夢を」


私は知ってる。


母の為に自分を殺して、兄の身代わりになった皇。
夫のために、彼に別れを告げた私の母。
父に嫌われたくなくて、役者を辞めた私。
十何年もかけて私を取り戻してくれようとした父。


家族の為に、
人がどれだけ決断できるか。
人がどれだけ強くなれるか。

ご両親は気まずそうに視線を落として、ファンレターを見つめた。


ねぇ、ナナミちゃん。
あなたの真っ直ぐな気持ちは、ちゃんと伝わる日が来るよ。
間違えたら、私が、仲間が、捕まえて、引っ張りあげるから。
私達を頼って。
そこに、家族を加えることを諦めないで。

一人じゃない。


「あなた方の娘さんを誇って下さい」


きっぱりと言った私の視線の先で。

やっぱり皇は微笑んでいた。