君の名を呼んで 2

新婚旅行がわり、自分の誕生日、特別な旅行。
それが全て、ぶち壊しになったのに。

しかも夫である俺は仕事ーーとはいえ、
俺に好意を持つ、他の女に呼び出されてノコノコ雪姫を独りにして。

普通なら怒る。俺が逆の立場なら怒る。

それでなくても、泣き虫なあいつが一度も涙を見せていない。


本当に何も感じていない?
雪姫に限って、そんなはずがない。


ーー演技、してる?


浮かんだ考えは酷く俺を揺さぶった。
今まで雪姫のヘタクソな嘘や隠し事なんぞ、簡単に看破してきたのに。

何も言わないのは、信用してくれているからだと都合良く解釈していたが……。


それにしたって“普通過ぎる”
今更、気がつくなんて。


柄にも無く、動揺する自分を隠して、俺はデスクから離れた。