君の名を呼んで 2

「あいつどうなった」


真野は言いにくそうに答える。

『警察に引き渡して、厳重注意で終わってる。身元確認はしたみたいだけど、危険物も所持してなかったし。
……城ノ内、やっぱり今日はいい。そのまま居てやれ』


真野の言葉に一瞬迷う。


けれど、仕事を投げ出すわけにもいかない。
社長のくせに、真野は背負い込み過ぎてる。
俺が戻らなければ確実に徹夜コースだろう。

余計な気遣いをしないように、できるだけ軽く言ってやった。


「雪姫には今日は外に出るなと言ってある。……まあ動きたくても動けないと思うがな」

『……このエロ男。程々にね』

真野の緊張が途切れた、呆れた声。
相棒にちゃんと意味が伝わったことに、低く笑い返して、靴を履く。
真野との電話を切って、着信履歴を確認した。

彼の前に、ナナミからの着信が、3件。


「……最近、増えてるな」


少しだけ、今すぐ雪姫の隣に戻りたくなる自分に、苦笑した。

玄関の扉を閉める直前、一度だけ振り返って。


けれど俺はそのまま部屋を出た。