君の名を呼んで 2

思い出すのはBNPでデビューが決まった日。

両親にどうにか認めてもらいたくて、帰宅してすぐ報告した私に父と母が冷たい目を向けた。


「何を浮かれてる。こんなことが学校に知られたら何と言われるやら……」

「あなたは私達の言うことを聞いていれば良かったのよ。芸能界なんて。うちの娘だなんて言えないわ」


あなた達の世間体の為に、私は夢を諦めなくてはならないの?
あなた達が決めた道から外れたら、私は存在すら認められないの?

泣きながら電話した私に、城ノ内さんは優しかった。


『お前の才能は、俺が認めてるんだ。自信を持て』


彼は私を見てくれる。
私を助けてくれる。


ーーだけど、彼は。
私だけを見ているわけじゃない。


城ノ内さんに抱き締められた梶原さんが羨ましくて、恨めしかった。

あんなに綺麗で、すずさんや皆に慕われていて、こんな私にも優しくて。
でも彼女の良さを知れば知るほど、自分が嫌になって彼女を嫌いになる。


ふと顔を上げた私は、目の前の男性と目が合った。
確かさっき、梶原さんを呼んだ俳優……カナメとかいう人だ。


「お前、城ノ内さんが好きなの?」


そう言うあなたは、梶原さんの事が好きなんでしょう。
私と同じ目で、抱き締め合う二人を見ていたものね。


「俺たち、協力出来そうだな」


私は口の端を吊り上げて、微笑んだ。