君の名を呼んで 2

まだまだ城ノ内副社長と要の睨み合いが続いているその傍で。
カスミちゃんとハツミちゃんが私を見上げる。

「そういえばさっき、変な人がいたんですよお」

「あ、キモかったよね~」

私は首を傾げた。

「変な人?」

聞き捨てならない言葉に、私は彼女達を促す。

「なんか私達をじっと見てて。話しかけるでもないんですけど」


CDデビュー前でも彼女達は色々な場所でイベントをしたり、メディアにも姿を出している。
今はネットでもすぐに映像が流出する時代だし、もうすでにファンと言える人たちもついていておかしくない。
ファン、なら良いけれど。
熱狂的、変質的な追っかけ、いわゆるストーカーってこともあるし……。

心配だな。
マネージャーもう一人、つけたほうがいいのかしら。

なんて考えながら、彼女達を見る。


「くれぐれも気をつけてね。あまり一人にならないように」

私の言葉に二人は頷いてくれた。

「ナナミちゃんも気をつけてね?」

彼女を見つめて言えば、ナナミちゃんは何も言わなかったけど、小さく頷いてくれた。
うーん、これはどうしたらいいかしら。

「あの、ナナミちゃ……」


ーー……?


その瞬間、強い視線を感じて、振り返る。
彼女の後ろから、不自然に近づく男性が見えた。


「ーー!」


本能的に、といってもいい。
肌が粟立つ。

私は咄嗟に彼女を引き寄せて、背後に庇った。
え?と怪訝な顔をしたナナミちゃんが、私の肩越しに見えた男に息を吞む。

それを見ても止まらずに近づく男の口元が歪んだーー気がした。


「梶原さんっ」


カスミちゃんの悲鳴と、ハツミちゃんが私を呼ぶ声がして。
男の手が私に伸びるのを見ながら、そのまま動けなくなる。