皇は私の気持ちなんてお見通しで、軽口に紛らわせて言ってくれる。

「人の心配してる場合か、馬鹿」

 私の傷ついた唇を拭うように、皇がペロリとそこを舐めとって。
 そのまま優しく、触れるだけのキスをした。

「私は、大丈夫」

 皇が、居てくれるから。


 アルバムをめくって、皆の笑顔を見ていく。


「きっともう、怖い夢は見ません。それにますます、マネージャーとして皆を守らなきゃって思いました」

 私の言葉に、皇がクスリと笑った。

「お前らしい。なら夢なんか見る隙もないくらい、俺が気持ち良く疲れ果てさせてやる」

 そして私を抱き上げる。

「あ、あのねえ、皇」

 私は真っ赤な顔で抗議するも、彼は涼しい顔で躱して。緩やかにベッドに下ろされた。

 しょうがない、今日は素直に。

 私は皇を見上げて、微笑んだ。


「皇、私あなたの奥さんになれて、幸せです」


 ずっとずっと、伝えたかった言葉。


「あなたに逢えて良かった」


 彼も同じように、微笑んだ。


「……ったく。相変わらず、最強の殺し文句なんだよ、馬鹿」

 その言葉に、くすぐったさを感じて。
 皇の『馬鹿』は私限定で、甘い甘い蜜を含んでいるのを知っているから。


「俺がどれだけお前に惚れてるか、一生かけて、わからせてやる。ーー雪姫」


 そんな台詞がキスと共に落ちて来たーー。