深夜に近い時間。
 私は自宅のテーブルの上に並べたそれらを見つめる。
 現像したまま整理しきれてなかった結婚式の写真。
 
 蓮見君たちジェイズが笑顔でこっちを向いている姿。
 すずが私のあげたブーケを掲げて涙目で笑っている姿。
 朔がスーツ姿で司会をしている姿。
 真野社長が帝さんと笑っている姿。
 桜里と私が肩を寄せ合って笑っている姿。
 皇の両親、冴木先生や、遥さんや、新城さん、レナさん、舞華さんーー。
 他にもたくさんの仕事仲間や、友達。

 私の大事な人達。

 それをアルバムに入れていき、最近増えた写真も足してゆく。
 ナナミちゃん達のライブの写真。
 要と朔とすずのPV撮影の記念写真。
 皇との旅行の写真。


 ふと、私の手が止まった。
 壁一面の写真を思い出しかけて。


 いつの間にか唇を噛み締めていた私に皇の手が触れて、血が滲んでいたことに気づく。

「雪姫?」

 気遣わしげな視線に、頷く。
 あの経験は、私達に大きな打撃を与えた。

 私はモヤモヤした気持ちを皇にも言えない時には、遥さんに話していた。
 彼女はただ静かに聞いていてくれて。

「もう大丈夫ですよ」

 そうふわりと微笑んでくれるのに何度癒されたことか。


 けれど。
 私にはそうやって、支えてくれる人たちが居る。


 でも、皇は?


「私は、大丈夫です。あなたこそ、平気?」


 私が夜中にうなされて飛び起きると、いつも皇が私を抱きしめてくれていた。
 けれどそれは、彼自身も眠れていないのだと。
 余裕の無い私は今までなかなか気づけなかった。