その日のうちに席が決まり、隣はなんと友吉、前には中野達也。優とは離れてしまい友吉が支えであった。

そして1週間程経ち本格的に授業が始まる。今日は国語の授業で習字をやる。私は習字が大の苦手だ。課題文字は「努力」。努力したって書けない物はやはり書けない。

友吉 相変わらずきったねー字だなー…
葵 う…ちょっと静かにして…今から名前書くんだから…
友吉 たっちゃん見てよーこれ、やばくね?

友吉はケタケタ笑いながら中野達也に話をふる。すると

達也 本当だ。
葵 え。
達也 どうやったらそんな字が書けるの?
葵 う。
達也 信じらんない。
葵 ぅ…
達也 象形文字かよ。
葵 しょ…?

けちょんけちょんに言われた。まともに話した事も無いのに。人見知りでしかも正論で何も言い返せなかった。

達也 貸してみ。

中野達也が席を立ち私の背後から私の手を握り文字を書く。私は驚いた。

葵 何でそんなに字うまいの…!?
友吉 そこかよ。
葵 え?
達也 んー才能かな?

初めて中野達也が笑うところを見た。笑うとえくぼが出来るんだ…何か柔らかいな…私はこの時こんな単純な事で中野達也に生まれて初めて恋をした。

もっと仲良くなりたい。知りたい。話したい。近付きたい。明日から私も友吉に便乗して達也って呼んでみようかな…笑