呑気に答えた私は、あんなに可愛らしいアネが背を向けたときに一瞬邪悪な笑みを見せたことに気づかなかった。


「……そのままずっと寝てろよ」


そう呟いた“彼”は憎しみがこもったような目で保健室のドアを睨んだ。

その姿は、まさに悪魔そのものであった。


そんなことは露知らず、名古屋恵理香は仙台亜祢が置いていった薬をのんでいた。

途端に襲ってくる強い眠気。


「あ…れ?」


副作用かな?

めちゃくちゃ眠い。もしかしてアネは私に『早く寝て元気になってね☆』という気持ちで睡眠薬を渡したんだろうか?天使だ。


「アネの気持ちを無駄にするわけにはいかんな!」


早く寝て元気100倍エリパンマンになってアネパンナちゃんに心配させないようにしなきゃな!


…そう思って眠りについて何時間たったのだろう。

起きたときにはもう約束の放課後だった。
アネさん…睡眠薬強すぎじゃありませんか…?


まだ寝てたいけれど、生徒会の勝負をすっぽかしたらどんなに恐ろしいことをされるか…!消し炭にされる気がするけど。


私は重い足取りで保健室を出た。