「結局、あいつら、来なかったな」
 デザートまで食べ終わった後、奏が言う。
「まぁ、あの書き方だと……来ないんだよね」
 予想はできていた。
 すると、奏が言いにくそうな様子で言う。
「麗……。この後、予定あるか?」
「え? 別にないけど……」
「なら、また駅前へ行かないか? ああいうのって、何度見てもいいものだろ? 特に今日こそ、クリスマス本番って感じだし」
 私は驚いて声も出なかった。
 まさか、奏から誘ってもらえるなんて、思いもしなかったから。
「行く行く!」
 嬉しくて、またも思わず立ち上がって言う私。
「そんなに焦らなくても、イルミネーションは逃げないって」
 笑顔で言う奏。
 私は慌てて座ったけど、また顔が熱くなるのを感じた。
 恥ずかしい……。
 でも、誘ってもらえて、信じられないくらい嬉しい。



 私たちは、支配人さんに一言挨拶してから、お店を出た。
 すると、いつの間にか雪が降り始めていたらしい。
「また雪かぁ。路面が凍結すると危ないし、困ったもんだな」
 ふてくされた様子の奏に、すかさずツッコミを入れる私。
「え~。クリスマスイブに雪って、ロマンチックでしょ」
「ま、まぁ……それもそうか」
 なんだかんだで、素直に納得してくれる奏は、やっぱり優しいな。
「さーて、雪がひどくなる前に、見に行くぞ」
 そして私たちは駅前へと向かった。