「船内に空間拡大魔法、動植物生存環境自動制御魔法、侵入防止魔法がかけてある。位置移動魔法陣も敷いてあるからな。船内の利便性は保証する」
「「名前難し過ぎ」」
「仕方ないだろ。そういうものだ。
侵入防止魔法は船の甲板だけじゃない。俺の部屋奥、それとお前の部屋。お前の部屋は万が一のことを考えて俺だけは入れるようにしてある。」
「はぁ…それはご丁寧に…」
「着替えは自室でしてくれ。めったなことがない限りは入らないから」
「了解です…」
「それとそのイヤリングだが、お前が使うことでパスポートの代わりになる。用はお前がお前であることの証拠だ。
魔法で感知できるのはお前の気配。つまり空気というか、雰囲気だな。
そこに追加で認証システムが張ってあるが、それで認知できるのは遺伝子レベルまでのお前の容姿。
それだけだと不安だからな。そのパスだ」
「…」
「すべてのチェックに約0.0003秒かかる。あてはまったら入れるからな」
「オリオン、いっつも言ってるけどさ、そんなに厳重じゃなくてもいいだろ。見張りもお前がいるし。」
「万が一のことが有ったらどうする」
「そりゃそうだけどさ」
「念には念をだゼウス」
「…」
あっさりと言い負かされるゼウスはぷくっと膨れる。
「ところでだ。一応言ったとは思うがゼウスが船長だ。
それと星賊だということを忘れるな。そこまでは変わらないと思うが」
「へ?星賊?」
「知らなかったのか?」
「海賊は分かるけど…リゾートはのほほんしてるから」
「…そうか」
「あれだろ、わーってやつ」
「わかんねぇよっ!!」
「…そうだな。何とか伝わる」
「肯定いらないよな!?てかなんでわか「悪いがイーリス、そこまで派手じゃない」
「最近オリオンが反抗期だ」
ガクッと落ち込んで頭を抱えてみて、ゼウスは心底残念そうにいった。
「反抗期どころか思春期も終わった。俺に青春はない」
「何その悲しい人生」
イーリスがたまらず呟いた。
「生まれた時から俺は成長が早かったらしい。思春期は確か七歳半突入」
10年ほど先走った成長はどうやら相当らしい。
「「早すぎるっての」」
「不思議なものだな」
そう静かにオリオンが呟いた。
「体おかしいんじゃないの」
「だろうな。分かりにくいからお前はしゃべるなゼウス」
おお神よ、と叫びながらよよと泣く振りをしてゼウスはばったり芝生に倒れた。
見て見ぬふりか、一瞥してイーリスに向き直って、オリオンは話す。
「主に星賊と呼ばれる奴らがやってんのは…」
___ゴクリ
イーリスの中にはいろいろな考えが浮かんだ。
略奪?殺人?人身売買?もしかしてもっとひどいのかも___


