☆Friend&ship☆ -序章-


予定より早まった出航。

クルーの誰もが泣いていた。

唇をかみしめ、震えていた。

ゼウスは奥の部屋に閉じこもっていた。

開けろ、開けろと…






「はぁ、はぁ、はぁ…」

固いコンクリートのベッド。

寝つきは最悪。

何度眠っても悪夢を見る。

眠れなくて自分を傷つける。

ああ、俺がもっとちゃんとしていれば。

もっと、もっと、もっと。

俺のせいだ。

俺のせい。

そうだ、俺が、俺が俺が俺が…


“死んでしまえ、お前などいらない。”

“なぜ生まれた。”

“悪魔の子…”


誰が望んで…俺と…俺なんかといるものか。

利用価値こそ、俺の存在価値だったのに。

守れなかった。

アデスを、死なせた。

永遠の悪夢は俺の贖罪。

構わない。

許されるのなら。

許されないから、辛いだけ。






「おい!馬鹿な真似はよせ!俺を入れろ!
お前だけじゃ、お前だけじゃ耐えられるわけないだろ!
ホセ!ホセ!開けろ!開けろよ!
大丈夫だから!大丈夫だもういいから!
ホセ!壊れるな!頼むから、なぁ、なぁホセ!!

お前だけが悪いんじゃねえよ!!」


固い扉は開きそうにない。

それでも、永遠に戸をたたき続ける船長は、確かに必死だった。