「あ、アデス…?」
どうして。
誰よりも優しかったのに。
なぜ。
こんな…
頭を抱え、叫びだしたかった。
アデスが死んだ。
自分の力が、足りなかったばっかりに。
でも戦う。
船長が、一人帰ってきたとき。
絶対に、この惨劇を見せるわけにはいかない。
油断している船長に誰かが襲い掛かるとも知れない。
倒すんだ。
すべて。
倒せ。
じゃなきゃ、もう此処にはいられない。
皮肉にも、タナトスはもう、攻撃を受けたりしなかった。
完璧に立ち回り、ゆっくりと時計を見た。
あと、1分。
最後の敵を蹴り倒し、アデスを見て、一粒だけ涙を流した。


