☆Friend&ship☆ -序章-


あいにく武器は部屋。

こんなに不用心だった自分に腹がたつ。

何とか生身で戦ってはいるが、魔法が使えない。

それがつらかった。

基本、星には魔力が少ない。

あの生き物…ふわふわと浮き、頼りなげなあの生き物…がいなければ魔法は無理だ。

厳しい。

場所が狭いため“夢術”も使えない。


ああ、早く。


アデスが、限界に近いんだ。

アデス…

「いいな、いざというときは俺を盾にして生き延びろ」

お前は必要なんだ。

驚いた顔で俺を見つめるアデルは少なからず戸惑っていた。

瞳を見開き、傷だらけの頬にかすかに赤みが差した。

認められてうれしいのだろう。

俺は背後の敵を肘鉄で倒しアデスを庇った。


また、俺の体を貫通していく矢をにじむ視界で捉えた。

「…あと…5分…」

倒れるな、倒れるな。

あと少し。

アデスを…

早く来てくれ船長。


アデスが。

あいつらがみんな死ぬ。


アデスが崩れた俺をそっと支えたのが分かった。




そして数秒後、俺は冷たい床に投げ出された。