もともとこの近くの暖かい星の小さな島で心理カウンセラーをやっていた。
評判もなかなかで、もったいないほどの賞も多く贈られた。
そんな時だ、あいつから連絡が来たのは。
“治してほしい患者がいる”
聞けば異常なまでに罪悪感が強く、また無感情なのだという。
そういうのは得意、と聞かれてもちろんだと答える。
やっと恩返しができる。
俺も成長した。
いくにんもの患者を癒してきた。
さぁ、島を出るんだ。
そしてクルーとしてあいつの船に。
船医として。
仲間として。
俺はその日に荷物をまとめ、星舟でその星を出た。
慣れ親しんだ人々に別れを告げると、振り向くこともなく。


