「ゼウス…無事か?」
「死ぬとこ」
「悪かった。心臓撃ち抜いてやるから楽に逝け」
「…ごめんなさい。逝きなくないです」
「遠慮は要らない」
さっきとはうって変わってリフトに揺られる二人はいつも通りだ。
後ろから見つめるイーリスはしっかりゴーグルをはめなおし、ゆらゆら異常に揺れるリフトを見た。
楽しそうなゼウス。
なだめるタナトス。
ついさっきの狂人ぶりはどこへやら、二人共々ただのイケメン(?)。
ヒラヒラ紅い髪が風にたなびき、白い雪と見事なコントラストを作り出している。
知ってか知らずかたまにゼウスはタナトスのその髪に触れては引っ張る。
止めろ、とばかりに払い除けられれば素直に手を引っ込めるゼウス。
常にゆらゆらゆらゆらしているボードは心なしか頼りなげだった。
そしてまた髪に手を伸ばす。
お返しだというようにタナトスはゼウスの脇腹をつついた。
ゼウスが縮こまるとそれ以上は手を出さないのがタナトスらしい。
そうこうしているうちにもうすぐ頂上。
スルリと吹いた風に前方を向いたイーリスは不意に息苦しさを感じた。
ポコリ、と何かはきだして見ると、それは赤く足下の遠い雪に消えた。
「イーリス!?」
イーリスはキャプテンの声を聞きながら、意識が途切れるのに身を任せた。
「死ぬとこ」
「悪かった。心臓撃ち抜いてやるから楽に逝け」
「…ごめんなさい。逝きなくないです」
「遠慮は要らない」
さっきとはうって変わってリフトに揺られる二人はいつも通りだ。
後ろから見つめるイーリスはしっかりゴーグルをはめなおし、ゆらゆら異常に揺れるリフトを見た。
楽しそうなゼウス。
なだめるタナトス。
ついさっきの狂人ぶりはどこへやら、二人共々ただのイケメン(?)。
ヒラヒラ紅い髪が風にたなびき、白い雪と見事なコントラストを作り出している。
知ってか知らずかたまにゼウスはタナトスのその髪に触れては引っ張る。
止めろ、とばかりに払い除けられれば素直に手を引っ込めるゼウス。
常にゆらゆらゆらゆらしているボードは心なしか頼りなげだった。
そしてまた髪に手を伸ばす。
お返しだというようにタナトスはゼウスの脇腹をつついた。
ゼウスが縮こまるとそれ以上は手を出さないのがタナトスらしい。
そうこうしているうちにもうすぐ頂上。
スルリと吹いた風に前方を向いたイーリスは不意に息苦しさを感じた。
ポコリ、と何かはきだして見ると、それは赤く足下の遠い雪に消えた。
「イーリス!?」
イーリスはキャプテンの声を聞きながら、意識が途切れるのに身を任せた。


