リフトの方へゼウスが体を向ける。
と、リフトを逆走するように飛び降りた。
「ひゃっほーい♪」
「おい。コース外滑走は禁止だ。勝手に林間に入るな」
「ジャーンプっ……ワホー↑↑」
「うるせえ。周りを考えろ馬鹿ウス」
「ヒドッ!マジヒドッ!」
「初級で回転するな。迷惑だ」
「さっきから文句ばっかじゃんか。ずりー」
ゼウスは口を尖らせる。
「…………………投げるぞ。本気で」
「いっ!?」
冷たく左手のゆきだまを側の木に投げるタナトス。
雪は幹にめり込んだ。
「……………………いいんだな?」
「良くないですごめんなさい」
わかればいい、とタナトスは雪も固めそうな視線をゼウスに突き刺し、ゼウスは胸元を押さえる。
「ぐはっ……」
「………………」
タナトスはわざと逆エッジで派手に転んだゼウスに無言の威圧で押し潰す。
「ヒデェ……」
「そうか。そんなに逝きたいか」
「おいおいおいおいおいおーい!おにーさん?字、字!!おいいいい!!」
「パニクルナ。ウルサイ」
小さな木の枝に乗り弾みをつけてタナトスはゼウスを飛び越えた。
おい!とばかりに流れる川の中にゼウスが突っ込む。
「副船長…饒舌ですね。」
「うん」
突っ込みどころがありすぎてどうしていいか分からなくなったクルーたちはきちんと整備されたゲレンデに向かって滑りだした。


