だって、仁さんがじっと私を見るから。




恥ずかしくて私は慌てて口を抑えた。




けれど、もう遅い。




水はすでに頬を伝って、落ちて、仁さんにもバッチリ見られている。




でも本当に、口から水がこぼれる姿なんて…見られたくなかった。





「――え…?」






その時、彼の手が私の口元を押さえる手を握り、離した。




突然のことに無意識に声が出る。




不意に、彼との距離が近づいた。