【短編】甘い香り

「…あたしの事好きなん?」

「…うん」

「…あたしを?」

「悠季だけ」

亮太は、ちょっと拗ねたように言うと、座っていたあたしを足で囲んで、抱き締めた。

「…亮太」

あたしは、亮太の背中に腕を回した。それと同時に、亮太は痛いくらいに「ギュッ」と抱き締め返した。

「…亮太、すきだよ」

そっと、呟くように言った。小さな小さな声で、でも…確かに、はっきりと。

「…ほんま?」

亮太は、ゆっくりと顔をあげて言った。

「…うん。あたしは、亮太が大好き」

ちょっと恥ずかしかった。

いや、かなり。

でも、伝えなきゃ…って思ったの。

「――――やべぇ、マジ…すげぇ嬉しい」

手の甲で、亮太は口を抑えた。真っ赤な顔があまりにも可愛くて…

「ぷはっ☆☆照れスギぃ~」

亮太の赤くなった頬をぷにぷにと人差し指で押した。

「…やっ、やめろよ!!」

亮太は、自分のほっぺたに伸びてくるあたしの手を振り払う。

「亮太赤すぎだよ顔♪」