「ちょっと!あれ、日向の弟!なに、兄の友達の妻、ナンパしてんのよ!?」

そう、隣にいる無愛想なヤツに言うと。

「うわ。まじだ。淕玖だ…」

「淕玖、なにやってんのよ…。柚鈴は?どこにいんのよ」

「柚鈴なら、淕玖の隣に…」

「あらら…淕玖、睨まれてるじゃない」

自業自得だわ。

彼女がいるのに、他の人に笑顔振りまいちゃって。

そりゃ、怒るわよね。

私だって…。

じーっと山城をみる。

「なんだよ?」

「…別にー?」

「嘘つけ。言え」

「私も柚鈴の気持ちわかるなって思ってたの」

「柚鈴の気持ち?」

「本命がいくら自分だってわかってても彼氏が他の人に笑顔振りまいてるのみると嫌なのよ」

「へぇー…じゃあお前も俺が他のヤツに愛想よくすんのヤなんだ?」

「ある程度は、愛想よくしたほうがいいと思うけど。日向の場合は」

「お前、まじで覚えとけよ」

「その変態さも少しは治してから結婚したほうがよかったかも」

「今夜から子作り頑張るか」

「黙れ、変態」

「その変態が好きなんだろ?」

うっ…。

そうだよ、山城が好きなんだから。

仕方ないじゃないか。

「うるさいなぁ。好きだわ、バカ」

「だから、バカは余計だっての」

ふふっと笑い合う私たちなのでした。