「コンクール、どんなに幸ちゃんが止めても出るよ」 たとえ辛くなっても、演奏できなくなっても、死に直面しようとも。 「この東雲コンクールには母さんがいるの」 あの日、母さんが邦丘ホールで演奏出来なかったこの曲。 「私は母さんに会わないといけない。母さんを安心させるためにも。絶対」 「狐乃羽…」 「だから、ごめんね幸ちゃん。コンクールに…出さしてください…」 私は幸ちゃんに深々と頭を下げた。 少しの沈黙のあと、幸ちゃんはおもむろに口を開いた。