「それは…そうですけど、でも俺は会社が云々言うより、やっぱり可愛い後輩…がっ!?」
頭のてっぺんから振り下ろされた肘。
「随分、楽しそうに、留守番してくれていたんですね?先輩?」
ニコリと悪魔の微笑を携えて加賀美が言う。
「いや」
さっと笑顔が消えた途端に、
「この、役立たず!」
吐き出された言葉に、東海林が打ちのめされているのが分かる。
その成り行きを固唾を呑んで見守っていた、人の良さそうな警備員が、はっと我に返ったように立ち上がった。
「じゃ、僕は管理室に戻るね。しかし…君達も、大変だねぇ…」
ふぅと息を吐いて、テーブルの上の新聞を見つめた後、去って行った。


