「ふざけんなよっ」
荒げた声がしたかと思うと、運転席から身を乗り出した浅尾が、俺の襟に掴みかかった。
途端に呼吸が苦しくなる。
「くっ、放せ…」
やっとのことで掠れる声を搾り出すが、浅尾はなおも力を緩めず、それどころか、そのまま背もたれに勢い良く身体を押し付けられた。
「ってぇ…」
思わず呻く。
「何であの時置いていったんだよ!なんで倉本を迎えに行ってやんなかったんだよ!!!」
浅尾の怒鳴る意味が、俺にはわからない。
「生半可な気持ちで、なんであいつに近づいたんだよ!どうせ置いてくなら最初から逢うなよ!」
わからないけど、心が、痛い。
「ほんと…俺も…そー思う…」
本心から、そう呟いた。


