風が、吹いた




「こいつ、関係ないんで。」




聞き覚えがあるような声と、急に真っ暗になった視界に気を動転させながら、腕を引っ張られるままによろよろと歩く。




「ちょ、誰ですか!貴方!邪魔しないでくださいよ!」




しつこく付き纏ってくるテレビ局の人間に、ちっと舌打ちしたのが聴こえたのと同時にー




「撒くぞ」




ぐんっと目隠しをしたまま走らされた。




どんどん上がるスピードに、軽く恐怖を感じる。




マスコミが、追いかけて来たのか、




今、背後にいるのか、




それとも諦めて帰っていったのか、




目の前に電柱はないのか、とか、




何もわからず、何も見えずに、ただ、がむしゃらに、走った。