どんよりとした灰色の雲が、風に吹かれて飛び交う枯葉を際立たせている。
≪特報です！志井名財閥と佐久間議員の癒着問題が明らかになりました。これには森グループの一部が深く関わっていたとされており、全容は未だ究明中ですが、どうやら内部告発のようです…あ、中継が入っています！今！今！志井名氏を乗せていると思われる車が…≫
大きく映し出されている大画面で、キャスターが興奮した面持ちで喚いている。
交差点を行き交う人々の大体が、何事かとその足取りをスローにさせ、顔を上げながら見つめていた。
そんな中で白い息を吐き出し、一人俯いて、あてもなく歩き出そうと足を踏み出すと、パシャッという音と、眩しい光が俺を捕らえる。
「嘉納孝一さん？ですよね？貴方が志井名忠司のお孫さんだということはかなり有名な話ですけど、今回のことについて、ひと言いただけませんかねぇ」
こちら側にも、マスコミが張り付いていたのか。
ま、当たり前か。
帽子でもかぶってくるべきだったな、と後悔していると、バサッと背後から何か掛けられた。
