「クリスマスプレゼントですよ。ほら。こんなところまで、お迎えがいらっしゃってるではありませんか。人様に迷惑を掛けてはいけないと、いつも仰っていましたよね?確か。」
それが合図であったかのように、スーツを着た厳つい体付きの男が2人、前に進み出る。
「志井名 忠司さん。政治家佐久間大介との癒着問題において、お尋ねしたいことがあります。署までご同行願えますか?」
「………孝一、お前、知っておっただろう。嘉納に絆されたか。」
警察の人間の存在を把握しつつも、自分の孫に裏切られた思いが、はち切れんばかりになっていた。
冷め切った何も感じることのない麻痺した心で、口元だけは笑みを溢しつつ、2人のやりとりを傍観していた俺を、その場に居合わせた全員が見つめる。
「何のことですか?」
表情を、少しも変えることなく訊き返した。
くっ、という笑い声と共に、力無く志井名は呟いた。
「お前も、所詮猛の子だの…」
背筋をスッと伸ばし、笑い声を漏らしながら、彼は、警察と共に部屋を出て行った。


