風が、吹いた


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驚いた。




駅から少し歩く、研究所までの道のり。人がほとんど通らないような畦道を歩いている途中で、携帯が震えた。



画面を見ると、待ち人からだったので慌ててでた。




前も後ろも見ずに、歩きながら必死に話していたら、



何故か電話の相手の浅尾が、目の前に居る。




「どうしてここに?」




「…その前に、いい加減携帯を仕舞えよ」




しまった。驚きすぎて、携帯を耳に当てたまま尋ねてしまった。




いそいそと携帯を閉じてポケットに入れる。




それを確認すると、浅尾が口を開いた。




「もう、終わりにしよう」