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―タクシーを呼ぶかな。
例のごとく、吉井に昼に抜けてこいと呼び出されたのは良いが、またしても何も口に入れないまま出てきてしまい、昼飯なしで過ごすことになりそうだ。
自分の短気な性格が恨めしい。
会社に戻る手段を思案しながら、浅尾は携帯を開いた。
不在着信を見て、溜め息を落とす。
―そろそろ、はっきりしなきゃな。
椎名孝一の正体と、置かれている状況を知った今、彼が倉本のことを、あの頃どんなふうに想っていたかが伺える。
そして、どんな気持ちで、置いて行ったか。
だから、なおさら。
あの人は、忘れてなんか、いないだろう。


