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キーンコーンカーンコーン
「おぃおぃ!何か、随分苛ついてたじゃねぇか!どーしたんだよぉ、椎名ぁ」
橋本の呼びかけを無視して、教室を出る。
「なんだよなんだよ、昼休みはサッカーだろ!?」
橋本の言う通り、最近サッカーして昼休みを過ごすことが恒例化してきたが、今はとてもそんな気分になれない。
「…悪い。明日はやるから」
振り返らずにそう言うと。
「絶対だからなぁ!」
橋本の必死な声が追いかけてきたから、少し笑えた。
屋上に着くと、深く深呼吸した。
昨夜から落ち着かない。
気づけばもう、最後の年の秋だ。
3年間なんて、本当に短い。
家を出ても、呪縛は解かれない。
自由なんて言葉は、俺にはない。
周囲に利用される、俺は単なる駒に過ぎない。
最初から誰かの手に渡っている。
最初から、俺は俺のものじゃない。


