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体育館が、落ち着きない声で、ざわざわと騒がしい。
『ようこそ、宮永第一高等学校へ!』
マイクを通して、司会者が大きな声で叫ぶと、一瞬静まった会場が、すぐにわーっと歓声に包まれる。
主役の新入生も、それぞれ興奮したような顔つきで、隣同士囁き合っている。
「椎名ー、お前珍しいな。1年の時ですらばっくれたお前が、この会に出るなんてよ」
きらきらと目を輝かせながら、隣に立つ橋本が言った。
「ま、最後の年だから、一応、な。」
ふぅん、とどうでもよさそうに返事をして、橋本はきょろきょろと忙しなく周囲を見回している。
『まず、最初にー!生徒会長の挨拶から!そしてその後、部活動の紹介を持ち時間各5分ずつで行ってもらいます!』
男の癖にキンキンと響く司会の声に、顔をしかめながら耳を押さえているとー
「あ、いた。」
口の動きで、橋本がそう言ったのがわかった。


