風が、吹いた


心臓をぎゅっと掴まれたような違和感に、首を捻る。



「あれ、どうしたかな。」



右手で心臓部分をさすりながら、屋上へと向かった。



ドアを開けた瞬間に吹く、春らしい風が髪を揺らす。



ぱらぱら、と本をめくりながらー




どうして、あの時彼女は泣いていたんだろう




どうして、彼女は上から降りてきたんだろう




頭の中では、彼女のことばかり考えていた。