風が、吹いた





こうして見ると、吉井の言っていた通り、本当に整った顔立ちをしている。



背は、どのくらいだろう。


180いくかいかないかくらい?



見下ろされていると、自分がものすごく小さい気がしてくる。



座っている状態なわけだし、フェアじゃないのだけれど。




「…俺、なんか付いてる?」




私がまじまじと見すぎたせいか、先輩は少し困った顔をして、さらに首を傾げた。




「っ、いやいやいやいやっ。なんにもついていませんが!」




突然の登場に心がついていってなかったせいか、うっかり観察を開始してしまったらしい。



この状況をやっと把握した私は、慌てて後ずさり、先輩との距離を確保しようとする。




「こないだは、送っていけなくてごめんね?ちゃんと帰れた?」




先輩はそんな私の傍に来て、しゃがみこむ。




「…はい。大丈夫です。ご心配いただかなくとも、今までもひとりで帰ってましたから。」




なんとか答えながらも、離れない距離に動揺して、視線を合わすことができない。

結局、俯くしかなかった。