風が、吹いた















「何が見たかったの?」




ー!



突然落ちてきた声に驚いてしまって、振り返ることも声を出すこともできなかった。



固まったまま動けない私の背後から、貯水槽から下に繋がる梯子をタンタンと下りる音がして、足音が近づくのがわかる。



今さっきまで、確かに校庭でサッカーをしていた人物は、一体どんな魔法を使って、この場所に来たのだろう。





「……椎名、、先輩」




首だけをやっとのこと動かして、呟いた。



彼は、フェンスを左手でつかんで、私のことを見下ろしていた。



少しだけ首を傾げて、ふっと笑った彼と、陽の光を通してきらっと輝いた髪に、不覚にも目を奪われてしまう。