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台風はとっくに過ぎて、数日ぶりに見上げた空は、快晴だ。
あれから、1日と半分だけ、休みをもらった。
熱は微熱程度で、少しのだるさはあるけれど、大学の研究室のことが気になって、いてもたってもいられなかった。
「おはようございます」
ノックしてから、中に入ると、いつもの定位置で、田邊先生が挨拶を返してくれる。
「おはよう。身体の方は大丈夫かな?」
「色々とご迷惑をお掛けしました。口汚し程度で申し訳ないのですが、お詫びです。良かったら召し上がって下さい。」
近所の和菓子屋さんの大福を差し出した。
「身体を悪くしたんだ、気を遣って貰うことなんてないのに…。倉本くんが体調崩すなんて今までになかったから、本当に心配したんだよ。風邪かい?」


