風が、吹いた


「何だよ、ほんとシケた顔してる。」



私の横に並んで、同じように、手すりにもたれかかった東海林が口を開く。



「何があったんだよ。昨日はまだマシだったのにな。」



東海林の言い方に、口を尖らしてみせた。




「私ってそんなに顔に出ますか?」



逆に訊いてみた。



「顔に出るって言うより…」



彼が空を仰ぎ見る。



「いつも出てないから。言うなれば、初めて見た顔、かな」



添えるように、口角を少し上げた。