風が、吹いた




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期末試験、最終日。




「あー、終わったぁー!!」




教室全体から、歓声が上がる。



大半が、腕を高く上げて、伸びをしていた。




「終わったねぇ。くらもっちゃんが遠くて寂しいよ」



試験の時は、席が五十音順になるため、窓側になった吉井が、廊下側の私の席までやってくる。




「私は静かで良かったよ」



にこりと微笑んで言ってやった。




「卒業式、もうすぐだねー」




少しも堪えていない様子の吉井に、こっちが軽く落ち込む。




「やっぱり、卒業生代表は、椎名先輩かな?」




「え、そーなの?」




ほぼ決定事項のように、言い切った吉井に面くらいながらも訊き返した。




「そりゃそうだよ。椎名先輩、ずっと学年1位だし」



腕組みしながら、廊下側の柱に寄りかかる吉井。




「知らなかった。。そんなこと一言も言ってなかったよ?」




どれだけ知らないんだろうって、自分に呆れる。




「能ある鷹は爪を隠すっていうからねぇ」




そう思っているようには感じられない口ぶりで、吉井が言った。



吉井なりにフォローしてくれようとしているらしい。