夕方。 自転車に乗って、いつもの道を走る。 森も家も、いつも通りそこにある。 周囲が暗くなったので、明かりが灯る家は、一目瞭然だ。 それが私の気持ちに拍車を掛ける。 お気に入りの家は、当然のように真っ暗で、自分の心もそこに入って、出てこられないように、鍵をかけられたらいいのに、と願った。 おぼろな月が、冷たく見えた。