風が、吹いた


「千晶が笑ったのは、俺が花をあげた時」




撫でていた髪を今度は、櫛のように梳く。その仕草ひとつひとつに、体温が上がる。




「あれだけ、泣いた後で、千晶は、笑ったんだよ」




壊れ物を扱うような繊細な動きと、大切そうに話す言葉で、苦しくなるくらいに心が騒いでいる。





「俺は」




「千晶のことが、本当に好きなんだ」





二度目の告白だった。