風が、吹いた


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「お待たせ…」




どうも敬語が抜けず、途中で言葉を切ったような話し方になってしまう。



朝ごはんにフレンチトーストをふたりであーでもないこーでもないと言いながら作って食べて、ゆっくりしてたら、時間はあっという間に9時を回ってしまっていた。



急いで支度することになり、椎名先輩には外に出て待っててもらって、今しがた玄関の鍵を閉めた所。



それなりに昨日考えていた服は、コートに隠れて見えないんだけど、カーキのマフラーを合わせて、茶色のブーツを履いた。



椎名先輩は、どんな格好してても目立つから、隣に並ぶのは気が引ける。