風が、吹いた


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「ごちそうさまでした」




これ以上もう食べれないってほどのご馳走をぐいぐい押し込んだお腹は、苦しすぎて破裂しそう。



それでも残ってしまったものは、佐伯さんが容器に入れて、私たちに持たせてくれた。



食後にコーヒーをもちろんいただいてから、椎名先輩と2人で後片付けして、お礼を言う。




「いえいえ、お粗末さまでした。次会うのは、もう来年かな。」




お店のドアに寄りかかりながら、少し寂しそうに、佐伯さんが言うから、こっちまで感傷的になってしまう。



来年なんて物理的に考えたら、たった2日後なのに。



「今年はお世話になりました。来年もよろしくお願いします」




佐伯さんには本当にお世話になってばかりだから、深々と頭を下げて言った。



「こちらこそ、いつも助かってます。じゃ、また来年ね。」




にこにこと、最後まで笑顔を絶やさず見送ってくれる、佐伯さんに軽く手を振って、二人して自転車に乗る。




「家に少し寄る?」




佐伯さんのカフェで、冬休み中のシフトが同じ時間帯に重なると、帰り道は一緒に先輩の家に行っておしゃべりするのが当たり前みたいになっていた。




「も、お腹いっぱいで何も飲めそうにないから、飲食物はいらないですよ」




真剣に言ったのに、先輩は噴き出した。