噛み締めるようなその言い方に、違和感を感じるも、深入りすることは、避けた。
佐伯さんと、椎名先輩の間に、私の知らない何かがあることは、とっくに気づいていた。
だけど、2人とも、それを話さないんだから、私がそこに入ってはいけないって事で。
不思議と疎外感は感じられなくて、むしろ、知ることの方が恐い気がする位だった。
カランカラン
変な沈黙が続くことに、そろそろ嫌気がしてきた頃、椎名先輩が来たことを知らせる鐘が鳴った。
「お、孝一君だ。意外と早かったね」
そう言われて時計を見てみると、時刻は18時を少し過ぎた所だった。
扉の開閉音と共に、彼がひょっこり顔を出しー
「間に合ったみたいだね」
と、嬉しそうに言った。
「ノンアルコールの、シャンパン風、冷やしといたから」
佐伯さんの言葉に、やっと私も笑った。


